臨床遺伝子医療学に関する各種セミナー、研修等についてご案内いたします。


2019年12月11日(水)開催 岡山臨床遺伝カンファレンス「遺伝情報は誰のもの?~遺伝性腫瘍当事者とともに考える~」開催報告

2019年12月11日(水) 岡山臨床遺伝カンファレンス「遺伝情報は誰のもの?~遺伝性腫瘍当事者とともに考える~」を開催致しました。



遺伝性乳がん卵巣がん(Hereditary breast and ovarian cancer : HBOC)の情報サイトを開設しました

【がんと遺伝について】

 がんと診断される方の約1割は、がんになりやすい体質を次世代に受け継ぐ可能性があります。このような性質を持って、原因の遺伝子が分かっているがんを「遺伝性腫瘍」と呼びます。遺伝性腫瘍の血縁者間では, 生涯変わらない遺伝情報を共有しているので, 適切な遺伝情報を知ることによって本人のがん治療や予防のみならず, 血縁者のがん予防にもつなげることができます(図1)。

【BRCA1/2とHBOC】

 HBOCは,BRCA1(ビーアールシーエーワン)またはBRCA2(ビーアールシーエーツー)(BRCA1/2)とよばれる遺伝子に, 生まれつきがんになりやすいという特徴(病的バリアントまたは変異といいます)を持っていることが原因です。
BRCA1/2遺伝子は誰もが持っているもので,本来はがんの発生を抑えるように働きます。しかし, BRCA1/2の病的バリアントを生まれつきもっている人は, 乳がん・卵巣がん・膵がん・前立腺がんなどになりやすくなると考えられています。

【HBOCの頻度】

 がんの有無に関わらず, BRCA1/2病的バリアントを持っている人の頻度は400人~500人に1人と考えられています1)
がんの患者さんがBRCA1/2 の病的バリアントを持つ割合も最近報告されています(図2)。その報告から, 日本人乳がん患者の約4%, 卵巣がん患者の約12%, 前立腺がん患者の約1%, 膵がん患者の約6%がBRCA1/2いずれかの病的バリアントを保持していることが分かりました2) 3) 4) 5) 6)

【HBOCの特徴】

HBOCは関係するがんには, 下記に示すような様々な特徴があります

・乳がん
▷乳がんと卵巣がんの両方を発症しやすい
▷一般的な乳がんと比較し, 若年で発症しやすい
▷反対側や両側に乳がんを発症しやすい
▷片方の乳房に複数回がんが発症しやすい
▷男性でも乳がんを発症する可能性が一般頻度に比べて高まる
BRCA1 が原因となる乳がんはトリプルネガティブタイプが多い6)
BRCA2 の場合, 通常の乳がん患者と同様にルミナルタイプが多い6)

・卵巣がん
▷卵巣がん患者さんではBRCA1/2 の病的バリアントを持つ人の割合が多いため,
BRCA1/2遺伝学的検査を行うことが奨められています。とくに漿液(しょうえき)がん, ステージⅢ期・Ⅳ期の進行症例が多いのが特徴6)

・前立腺がん
BRCA2 の場合, 前立腺がんのリスクが2~6倍になる6)
BRCA2 が原因となる前立腺がんは遠隔転移やリンパ節転移の頻度が高い6)

・膵がん
BRCA2 では, 膵がんのリスクが2.4~6倍になる6)

【乳がんと卵巣がんの発症リスク】

最近の報告では, BRCA1病的バリアントを保持した女性の約72%、BRCA2では約69%が80歳までに乳がんを発症すると推定されています。また, BRCA1病的バリアントを保持した女性の約44%、BRCA2では約17%が80歳までに卵巣癌を発症するとされています8)
図3にHBOC関連がんの一般頻度と生涯発症リスクをまとめています。

【診断】

 BRCA1/2の病的バリアントを保持している人に対しては, ご本人ががんの予防や早期発見に向けた取り組みが可能となるだけではなく, ご自身のみならず血縁者の健康管理にも繋げることができます。その確定診断のためには遺伝子を直接調べる必要があります。生まれつき持つ遺伝子の特徴を調べる検査を遺伝学的検査と呼び, 採血で行うことができます。
 当院でもBRCA1/2の遺伝学的検査や遺伝カウンセリングを実施しています。
遺伝カウンセリング外来の費用や予約方法については下記URLをご参照ください。
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index41.html

【対策】

 一般的ながん予防における最大の目標は「がんで亡くなる人を減らす」ことです。
HBOCに関しても, がんになる前に, 遺伝学的検査を行いBRCA1/2に病的バリアントを保持していることが分かれば,関連するがんの早期発見,早期治療,リスク低減手術などを行うことができます。
HBOCと確定している、または疑う方に対して、検査時期や種類が提唱されています(図4)。
また,BRCA1/2に病的バリアントを保持している女性では,リスク低減手術によりがんの発症リスクを大幅に下げることもできます(図5)。
さらに,既にがんを発症されている方でも, 検査の結果を術式選択やサーベイランス(きちんとみていくこと)の際に用いることで二次がんのリスクを下げることができる可能性があります。


【岡山大学病院での取り組み】

・臨床遺伝子診療科では遺伝カウンセリング外来(https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index41.html)を開設しており,病院が一丸となってHBOC診療に取り組んでおります。 診断がついた後のサーベイランスも責任をもって実施します。

・当院では, 学内倫理委員会の承認をもとに BRCA1/2 に病的バリアントを持っている人に対してリスク低減卵管卵巣摘出術(risk reducing salpingo-oophorectomy:RRSO)を実施しています。
▷RRSO施行後のヘルスケアの管理は, 産科婦人科(http://www.okayama-u-obgyn.jp/)でフォローアップを行っています。

・乳房に対しては, リスク低減乳房切除術(risk reducing mastectomy: RRM)を行っています。
▷乳がんの術式選択や再建に関しては, 乳がん治療・再建センター(https://www.bctr.co/ )で相談することができます。

・コンパニオン診断でHBOCと診断された方へ
岡山大学病院または他の病院で乳がんや卵巣がんの治療薬選択のために BRCA1/2 に病的バリアントを保持しているといわれた方もご受診ください。主治医にお伝え頂くか、当科にご予約下さい。

【当事者会】

・遺伝性乳がん卵巣がん当事者会/ 特定非営利活動法人クラヴィスアルクス
https://www.clavisarcus.com/
▷岡山大学病院ではクラヴィスアルクス中央西日本支部が定期的に当事者会活動を開催しています。

【さらに詳しく知りたい方へ】

・遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)をご理解いただくために(Ver.4.1)
http://hboc.jp/downloads/pamphlet_ver4-1.pdf

・遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)診療の手引き 2017年度版
http://johboc.jp/guidebook2017/

【参考文献】

1)BRCA1- and BRCA2-Associated Hereditary Breast and Ovarian Cancer. In: GeneReviews at GeneTests: Medical Genetics Information Resource (database online). Copyright, University of Washington, Seattle, 1997- 2015. Available at http://www.genetests.org. Accessed Jan 14, 2019.
2)厚生労働省 全国がん罹患数 2016年速報
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000468976.pdf
3)Momozawa Y, et al. Nat Commun. 2018; 9(1):4083
4)Hirasawa A, et al. Oncotarget. 2017; 8(68):112258-112267
5)Momozawa Y, et al. J Natl Cancer Inst. 2019;pii:djz124
6)NCCN Guidelines® Genetic/Familial High-Risk Assessment: Breast, Ovarian, and Pancreatic Version1.2020
7)遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)診療の手引き 2017年度版
8)Kuchenbaecker KB, et al. JAMA. 2017; 317(23):2402-2416



2020年2月17日(月)~19日(水) 第3回 バイオメディカルデータサイエンティスト養成集中講座開催について

AMEDゲノム創薬基盤研究推進事業(A-3班)主催で開催致します(※申込締切 1月10日)



2020年1月25日(土) 第2回 がんゲノム医療従事者多職種合同セミナー開催について

AMEDゲノム創薬基盤研究推進事業(A-3班)主催で開催致します(※申込締切 1月13日)



2019年11月25日(月),12月16日(月) 「遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)当事者会」【クラヴィスアルクス中央西日本支部】開催について

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の当事者会(患者会)を,下記の通り開催します。 ご本人,ご家族,発症・未発症,HBOCに向き合っている方ならどなたでも参加できます。 お気軽にご参加ください。



2020年2月11日(火・祝) がんゲノム市民公開講座(シリーズ第3回) 「みんなで考えよう!遺伝性乳がん卵巣がん」開催について



2019年10月30日(水)「遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)当事者会」【クラヴィスアルクス中央西日本支部】開催について

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の当事者会(患者会)を,下記の通り開催します。 ご本人,ご家族,発症・未発症,HBOCに向き合っている方ならどなたでも参加できます。 お気軽にご参加ください。



遺伝カウンセリングロールプレイ研修会(GCRP2019)の担当をいたします。2019年10月3日(木)18:00~ より募集開始。

http://www.jsgc.jp/news.html#20190918



臨床遺伝子診療科がサポートしている当事者会活動が山陽新聞に掲載されました。



2019年9月25日(水)岡山臨床遺伝カンファレンス開催について




2019年9月25日(水)「遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)当事者会
【クラヴィスアルクス中央西日本支部】開催について

https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/news/detail133.html

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の当事者会(患者会)を,下記の通り開催します。
ご本人,ご家族,発症・未発症,HBOCに向き合っている方ならどなたでも参加できます。
お気軽にご参加ください。



2020年2月1日(土)「第1回せとうち臨床遺伝研究会」開催について

https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/news/detail124.html

2020年2月1日(土),「第1回せとうち臨床遺伝研究会」を開催します。
※詳細はパンフレットをご参照ください。



2019年8月28日(水)「遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)当事者会」
【クラヴィスアルクス中央西日本支部】開催について。

https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/news/detail122.html



2019年8月7日(水)がんゲノム医療連携病院等説明会およびAMED〔A3班〕人材育成講演会を開催について。

https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/news/detail126.html



2019年7月12日(金)遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)当事者会を開催について。

https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/news/detail123.html



2019年7月10日(水)「岡山臨床遺伝カンファレンス」 冨田准教授、「北欧におけるデジタルヘルスケアの取り組み」について講演



2019年7月14日(日)~15日(月・祝)遺伝カウンセリング学会 第11回遺伝カウンセリングアドバンストセミナーを開催について。

http://www.jsgc.jp/news.html#20190413

臨床遺伝専門職のためのがんゲノムセミナー「がんゲノム医療時代における遺伝医療」を担当しました。



平成30年度の認定遺伝カウンセラー募集は終了しました


募集要項「岡山大学病院 臨床遺伝子診療科 認定遺伝カウンセラー」



2018年12月26日(水)「ゲノム医療実装プロジェクト平成30年度研修会(岡山)」のご案内

http://www.jsgc.jp/news.html#201811082



2018年10月11日(金)「日本・フィンランド ヘルスケアICTシンポジウム」

冨田准教授、モデレーターとして参加。

今回は、医療・ヘルスケアの接点と融合領域に視点を置き、世界のトップレベルであるフィンランドにおけるICT活用状況とバイオバンク応用に焦点をあて、生命科学から生まれる新しいヘルスケア世界の将来と、日本における課題につき真実性等を紐解き、原点を観なおす講演および討論会を企画し、シンポジウムを開催させていただきます。(抜粋)



募集開始「遺伝カウンセリングロールプレイ研修会(GCRP2018)」

遺伝カウンセリングロールプレイ研修会(GCRP2018)受講申込開始のお知らせ

臨床遺伝専門医制度委員会では,遺伝カウンセリング技術のスキルアップを目的とした研修会(GCRP研修会)を2014年度から実施しています.2018年度の遺伝カウンセリングロールプレイ研修会(GCRP2018)は,遺伝カウンセリングの均てん化,および全国への普及を目的として,全国10箇所で,2018年12月から2019年3月の間に実施致します。遺伝カウンセリングのスキルアップを目指す臨床遺伝専門医,認定遺伝カウンセラー,その他の医師・医療職者等を対象に,下記の通り受講申込を受け付けます.(抜粋)



2018年10月8日(月・祝)「あるある市民公開講座 in おかやま」

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